米国の制裁対象に指定されたビットコイン(BTC)アドレスに、現在も約930億円相当のBTCが残存していることが分かった。
米暗号資産調査機関ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のリサーチ責任者アレックス・ソーン(Alex Thorn)氏が18日、米財務省外国資産管理局(OFAC)の制裁対象アドレスに関する集計データをXで公表した。
同氏の分析によれば、米国はこれまでに合計518件のビットコインアドレスを、OFACのSDN(特別指定国民)リストに追加してきたという。
【参考】X投稿
制裁対象アドレス、累計で約25万BTCを受領
公開されたデータによると、これら518件のアドレスは、これまでに累計24万9,814BTCを受領し、23万9,708BTCを送金していた。
差し引きすると、制裁対象アドレスには現在も9,306BTCが残存している計算になる。時価ベースでは約7億700万ドル、日本円では約930億円に相当する規模だ。
制裁対象に指定された後も、相当量の資産が移動されず、オンチェーン上に残り続けている実態が浮き彫りとなった。
OFAC制裁の狙いは「利用・換金」の封じ込め
OFACが暗号資産アドレスをSDNリストに追加する目的は、対象者によるビットコインの利用や換金を事実上困難にする点にある。
米国内の金融機関や暗号資産取引所は、SDNリストに掲載されたアドレスとの取引を禁じられており、米国の規制に準拠する主要取引所も、これらのアドレスをスクリーニング対象として管理している。
そのため、制裁対象アドレスに紐づく資産は、法定通貨への換金や主要プラットフォーム経由での移動が大きく制限されることになる。
技術的な完全凍結は困難
一方で、ブロックチェーンは分散型ネットワークで運用されているため、特定アドレス上の資産を技術的に完全凍結することは難しい。
その結果、制裁対象となったBTCであっても、オンチェーン上から消えるわけではなく、残高は引き続き確認・追跡できる状態にある。
今回のデータは、制裁が取引や換金の抑止には一定の効果を持つ一方で、資産そのものを消失させる仕組みではないことを改めて示した形だ。
北朝鮮系やロシア関連への制裁が積み重なる
OFACはこれまで、北朝鮮系ハッカー集団やロシア関連の暗号資産事業者などを対象に、暗号資産アドレスへの制裁指定を進めてきた。
制裁対象アドレスに残存する資産をどう扱うかは、国際的なマネーロンダリング対策や制裁の実効性をめぐる議論とも密接に関わるテーマとなっている。
今後の規制強化や監視体制のあり方を占ううえでも、今回のデータは重要な参考材料になりそうだ。