米上院銀行委員会、クラリティー法案を5月14日にマークアップへ 暗号資産規制整備が重要局面

ニュース

米上院銀行・住宅・都市問題委員会は、米時間5月14日に正式会合を開き、暗号資産市場構造法案「クラリティー法案」のマークアップ(委員会による修正・審議手続き)を実施する予定であることを公式日程として公開した。

委員会のウェブサイトによると、会合の模様はライブ配信される予定だ。

クラリティー法案は、米国における暗号資産規制の枠組みを整理する重要法案として位置づけられており、業界側にとって連邦議会での最優先課題のひとつとされている。

SECとCFTCの管轄整理が柱

同法案では、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の間で、デジタル資産に対する監督権限を明確化することが大きな柱となっている。

具体的には、

  • どのトークンが証券に該当するのか
  • どのトークンがコモディティ(商品)に分類されるのか

を整理するほか、暗号資産取引所やステーブルコイン発行体に対して、新たな情報開示義務を課す内容が含まれている。

銀行委員会のティム・スコット委員長は今年初め、数カ月にわたる超党派交渉を反映した278ページの修正案を公表していた。

最大争点だった利回り条項は前進

これまで法案審議の大きな障壁とされてきたステーブルコイン利回り条項については、先週、トム・ティリス上院議員とアンジェラ・アルソブルックス上院議員による妥協案がまとまり、一定の前進がみられている。

妥協案では、口座残高に対して単純に利回りを付与することは禁止される一方で、取引活動に連動した報酬については認める方向となっている。

コインベースの最高法務責任者ポール・グルワル氏は、「コンセンサス2026」カンファレンスでこの案を評価し、

「活動連動型報酬という重要な仕組みを守っており、現実的な落としどころだ」

との見方を示した。

また、銀行業界が主張する「ステーブルコイン報酬による預金流出」については、

「その主張を裏付ける実質的な証拠は示されていない」

と批判している。

銀行業界は追加修正を要求

一方で、銀行業界側は現在の妥協案を不十分とみており、追加修正を求める動きを強めている。

報道によると、

  • 米国銀行協会
  • 銀行政策研究所
  • コンシューマー・バンカーズ・アソシエーション
  • フィナンシャル・サービシズ・フォーラム
  • 独立コミュニティ銀行協会
  • ナショナル・バンカーズ・アソシエーション

の6団体が連名で、共和党側に対して条項修正を要請した。

各団体は、現在の文言では利回り禁止の対象が狭すぎると主張しており、「利回りと実質的に類似するあらゆる支払い」を包括的に禁止するよう求めている。

銀行業界は、これが預金流出防止という本来の政策目的に沿った内容だとしている。

次の焦点は倫理条項

ステーブルコイン問題が整理に向かう中、次の主要争点として浮上しているのが倫理条項だ。

民主党側は、クラリティー法案本体に倫理条項を組み込むよう求めている。

この条項では、

  • 上院議員
  • 高官
  • 大統領
  • 副大統領

などが、公的立場を利用して暗号資産関連事業から利益を得ることを制限する内容が想定されている。

共和党側は、こうした条項は銀行委員会の管轄外であり、法案が委員会を通過した後に追加することも可能との立場を示している。

しかし民主党はこれを受け入れておらず、民主党のルーベン・ガレゴ上院議員は、法案本文に倫理条項を盛り込むべきだとの姿勢を崩していない。

さらにキルステン・ジリブランド上院議員は、

「倫理条項が含まれなければ、民主党は賛成票を投じない」

と発言している。

背景にトランプ一族の暗号資産事業

倫理条項が注目される背景には、トランプ大統領とその一族による暗号資産関連事業の拡大がある。

報道によると、トランプ氏とメラニア夫人は2025年1月の就任前にそれぞれミームコインを発行。

また、トランプ家は、

  • DeFi・ステーブルコイン事業「WLFI」
  • マイニング企業「American Bitcoin」
  • ステーブルコイン「USD1」

など複数の暗号資産関連事業に関与しているとされる。

一部報道では、トランプ氏関連の暗号資産事業価値は少なくとも14億ドル規模と推計されている。

ホワイトハウスは7月4日成立を目標

ホワイトハウスのデジタル資産大統領顧問委員会は、クラリティー法案の成立目標を7月4日の米独立記念日に設定している。

同委員会のパトリック・ウィット事務局長は、

「米国建国250周年に向けた素晴らしい誕生日プレゼントになる」

と述べている。

現在想定されているスケジュールは、

  1. 5月14日に委員会マークアップ
  2. 6月中に上院本会議で採決
  3. 下院との最終調整
  4. 7月4日までの成立

という流れだ。

今後の注目ポイント

今後の焦点は大きく3つある。

  • 5月14日のマークアップで倫理条項がどう扱われるか
  • 銀行業界の追加修正要求が法案に反映されるか
  • 7月4日の成立目標スケジュールが維持されるか

もし民主党側の支持を失えば、共和党単独で委員会通過は可能でも、上院本会議で必要となる60票の確保は難しくなる可能性がある。

5月14日のマークアップは、米国の暗号資産規制の方向性を左右する重要な節目となりそうだ。

タイトルとURLをコピーしました