ビットコイン(BTC)は、8万ドル台を明確に回復・定着できるかどうかが、次の相場の方向性を決める重要な分岐点になりつつあるようだ。オンチェーン分析では、ETF投資家と短期保有の大口投資家(短期クジラ)がともに損益分岐点付近に位置しており、この水準での売り圧が焦点として浮上している。
【参考】CryptoQuant記事1 / CryptoQuant記事2
ETF投資家と短期クジラが分岐点に接近
クリプトクアントの登録アナリストであるMorenoDV_氏は22日付の分析で、ビットコインETF投資家の平均取得コスト、いわゆる実現価格が約7万6,400ドルで、現在の現物価格にほぼ並んでいると指摘した。
さらに、短期保有クジラの実現価格は約7万9,600ドルとされ、直近価格をわずかに上回る水準に位置しているという。
この2つの投資家層がそろって損益分岐点付近に達したことで、8万ドル近辺が相場の次の方向性を決める臨界点になっているとの見方を示している。
含み損を抱えた投資家の売り圧に警戒
ETF投資家は、1月30日以降およそ3カ月にわたって含み損の状態が続いてきたとされる。
一方、短期保有クジラの含み損は現在43億ドルに達し、30日平均では94億ドルという深刻な水準にあるという。
MorenoDV_氏は、1月15日にビットコイン価格が9万5,000ドル付近に接近した場面で、損益分岐点を回復した短期クジラが利益確定売りに動いた過去の事例を引き合いに出し、**「長く損失に耐えていた資金がブレイクイーブンを回復すると、分配圧力が強まりやすい」**というパターンが今回も繰り返される可能性を指摘している。
供給面では引き締まりが進行
一方で、需給面ではポジティブな材料も出ている。
別のアナリスト、サニー・モム氏は、取引所に保有されているビットコイン残高が年単位・月単位の両方で減少傾向にあると指摘。市場に出回る売り物が減ることで、供給の逼迫が強まりつつあるという見方を示した。
さらに、ブラックロックのIBITをはじめ、ストラテジー、モルガン・スタンレーのMSBT、チャールズ・シュワブ、ゴールドマン・サックスなど、機関投資家による関連商品の投入や参入が相次いでいることも、供給タイト化の背景として挙げられている。
グラスノードは「建設的な局面への移行」と分析
オンチェーン分析企業グラスノードも今週のウィークリーレポートで、ビットコインがトゥルー・マーケット・ミーン(TMM)の7万8,100ドルを上抜けたことに注目した。
同社はこれを、**「深刻な弱気相場から、より建設的な市場局面へ移行する重要なサイン」**と評価している。
ただし、その先には依然としてハードルが残る。グラスノードによれば、短期保有者の平均取得コストである8万100ドル付近には売り圧が控えており、過去の弱気相場でもこの水準を一度で突破できるケースは多くなかったという。
利益確定売りと資金流入の綱引き
グラスノードはまた、短期保有者の含み益比率が**54%**を超えると、利益確定売りが集中して上昇が頭打ちになりやすい傾向があると指摘している。現在の指標はその水準に接近しており、売り圧への警戒が必要な局面に入っている。
一方で、現物ETFには7日移動平均ベースで純流入が戻りつつあり、**CVD(累積出来高デルタ)**も主要取引所全体で買い優勢へ転換したという。
ただし、足元の買い圧力を主に牽引しているのはバイナンスであり、コインベースは相対的に低調とされる。このため、現時点では米国の大口資金よりも、海外勢や個人投資家の買いが先行している構図が浮かび上がる。
今後の注目ポイント
今後の相場で注視すべきポイントは大きく2つある。
1つ目は、ビットコインが8万ドルを明確に上抜けし、その水準に定着できるかどうか。
2つ目は、米国の大口投資家による本格的な買い再開が確認できるかどうかだ。
もし8万ドル台をしっかり維持できれば、相場は次の上昇局面に進む可能性がある。一方で、損益分岐点に達した投資家の売りに押し返されるようなら、再びレンジ相場に戻る展開も想定される。
まとめ
足元のビットコイン市場では、ETF投資家と短期クジラがともに損益分岐点に近づいており、8万ドル前後が重要な攻防ラインとして意識されている。
供給面では引き締まりや機関資金の流入という追い風がある一方、構造的な売り圧も依然として残る。今後は、8万ドル突破の定着と米国大口勢の買い戻しが、次の相場展開を見極めるうえで大きなカギとなりそうだ。